[seiryuu氏]私たちの地域を豊かに幸せに。プラウト社会実現へ向けて。 〜 衣食住の保障と幸福に対する正しい認識 〜 【第7回】

竹下雅敏氏からの情報です。
 皆さんは、プラウトが主張する、衣食住、医療、教育は最低限保障されていなければならないということに同意するでしょうか。それともグローバリズムという弱肉強食の世界こそ自然の摂理だと考え、弱者は見捨てられて当然だと思うでしょうか。この2つの立場が相容れない事は明らかです。
 1%と99%の戦いでは、99%は負け組です。弱肉強食ならば、負け組は奴隷か家畜が相応の身分です。それが嫌なら、努力して這い上がって来いという世界観です。ところがその勝ち組である1%は何の努力もせず、世襲と言うシステムで、安楽な暮らしが保証されているのです。皆さんがこういうシステムを、公正公平だと思うなら、それも仕方ありませんが、私にはどう考えても、不正かつ邪悪に見えます。
 苫米地氏が対談で語っていたように、オリンピックなどの祭典は、人々を奴隷として洗脳するのに、大変都合が良いように思えます。超人的な努力をした、ほんの一握りの人間が栄光を手にすることが出来るのです。多くの人々が貧しいのは、才能がなく、努力も足りないからだという暗黙のメッセージが、ここには有ります。
 ですが全く別の考え方があります。人間は誰でも幸福に生きる権利があるという考え方です。幸福な人生のためには、先に挙げた5項目(衣食住、医療、教育)が最低限無償で、全ての人に与えられるべきなのです。
 この中には生き甲斐も、自分の仕事に対する誇りも入ってはいません。自尊心の低い人が幸福なはずがありません。プラウトは、生きる権利を最優先事項としますが、“個人の尊厳”のためにも、生活保護は適切ではなく、適切な職が必要だと考えています。私もこの立場です。
 今の日本は相当に病んでおり、生活保護を受け取れた人が勝ち組という、逆転した価値観が一部の若い人にはあるようです。確かに真面目に懸命に働いても、生活保護以下の収入しか手に入れることが出来ないとするならば、このような考え方が出て来てもおかしくはありません。しかし、それは政治、社会が腐っているからなのであって、このような考え方は、明らかに間違っています。
 働きもせず、他の人たちの労働の上に寄生をして平気でいられるとすれば、その人はどれほど自尊心が低い人物なのでしょう。人生において金がすべてなら、こういう考え方も出来るでしょうが、これまでプラウトで説明されて来たように、人間は身体的側面以上に、心と意識の割合が大きいのです。
 人間の幸福は、この意識、心、体のバランスの上に成り立っています。意識と心を無視して、体だけに特化した世界観、すなわち、お金だけに特化した世界観に、現代人はあまりにもどっぷりと浸かってしまっているのではないでしょうか。幸福とは何かをきちんと認識すれば、プラウトが提唱する世界観、そしてそれに基づいた経済システムが基礎になるのは、明らかではないでしょうか。
 もしも、負け組の99%の人たちが、プラウトの世界観を拒否する理由があるとすれば、支配者側の論理に同調することで、心理的に自分が勝ち組の側に属しているという幻想を維持し続けたいからだとしか思えません。この意味でも、まず最初に行わなければならないのは、自分自身をありのままに見ることです。
(竹下雅敏)
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私たちの地域を豊かに幸せに。プラウト社会実現へ向けて。
文:seiryuuさん

※実践に向かう。

1,プラウトの優先事項を知る。 

*生きる権利! (第1優先事項)

・最低限の生活必需品の保証
 「プラウトが第1に必要とすることは、あらゆる人の最低限の生活必需品を保証することである。」
 ➀食料(飲料水も含む)、②衣服、③住居(下水設備とエネルギーを含む)、④医療、⑤教育。
 「これらの必需品は、その国のもともとの住民であろうが、外からやってきた人であろうが、あらゆる人間に保証されなくてはならない。」。このようにプラウトは「生きる権利!」が第一優先事項であり、全ての人に最低限の生活必需品が保証されないといけないとします。また、そのためにも以下の提言があります。
・雇用は政府機関の責任(完全雇用政策)(『〃』p59)
・適切な最低賃金。(生活保護についての見解)(『〃』p59)
 最低賃金「生きる権利!」を十分保証する適切な額でなければならない。また、完全雇用を実現維持すべきで特例以外は生活保護は適切でなく、個人の尊厳のためにも適切な職が与えられるべきである。
・人々の購買力の向上がポイント。(『〃』p60)

*「生きる権利!」が削られ続けている日本

 プラウトでは優先事項第一は「生きる権利!」で、そのために政府責任による完全雇用で適切な最低賃金は保障されなければならない。ポイントは「人々の購買力向上」であるとされます。そうすると日本の現状は?近年非正規雇用が増大の一途、特に都市部では最低賃金では生活できず、社会保証も減少し「下層老人」なる言葉も飛び交っているのは承知の通りです。国税庁発表の「民間給与実態統計調査」によると、「1997~2015年の19年間、民間企業の平均年収はほとんど上がらず、日本人の平均収入は昭和63年と同水準に落ち込み、さらに税金と社会保険料の負担率は上がっているため、手取り額の減少は平均年収の減少よりも厳しい。」ポイントである購買力が逆に低下し「生きる権利!」が徐々に削られている実態が浮かび上がります。なぜそうなったのか?豊かであったはずの日本が貧しくなったのはなぜ?この約二〇年間日本にてマスコミ等で盛んに持ち上げられ実施され続けたのが「構造改革」でした。これの関連はあるのでしょうか?

*略奪の手法を知る:IMF(国際通貨基金)が行ってきた事実。

 IMFは世界における公的経済救済機関、つまり有名で善なる機関として装われています。しかし事実でしょうか?IMFこれに頼った南半球の貧しい国々、そして東ヨーロッパ、ロシア(東アジアの国々も)、そこに住む一般の人々が恐ろしい苦しみを味わったことが記されています。((『〃』p18,19)
 IMFは貸付資金と引き替えに必ず「構造調整プログラム」をその国に押しつけます。(無論、資金貸し付けとは「お金の秘密・打ち出の小槌物語」で明かしたように、所有する資金を貸すのではなく、無からお金を創造し貸し付けたことにして利息を取るのです。)これは国際投資家に莫大な利益をもたらし、その国の富裕エリートも恩恵にあずかる。しかし国内企業、労働者、一般市民には致死的なダメージを与えることが明かされています。国際投資家(無論その中核トップはFRBの所有者)がその国の富裕エリートと(賄賂によって)協力を得、一般民衆からIMFを道具に使い徹底的に略奪する手法です。これがグローバリズムの手法です。

・IMFの「構造調整プログラム」の内容
公務員数と社会的支出の削減による政府予算の縮減。
②インフレ対策として利率を上げること。
③輸入商品への関税の撤廃。
土地、資源、企業を外国人が所有することを禁止している法律の廃止。
⑤基本的生活必需品に対する助成金の削減。
⑥国内経済を自給自足から輸出中心へ方向付けること。

 気づかれたでしょうか?日本で進められてきた「構造改革」とIMFの「構造調整プログラム」が非常に似通っていることに。内容的に検討すれば➀の公務員数削減と②以外は全て重なります。「構造改革」とは略奪システムである「構造調整プログラム」を下敷きにしたものだったのです。日本の一般大衆が貧しくなって当然です。富を継続的に収奪できる構造が「構造改革」なのですから、分かって意図的行ってきたのです。目眩ましをしながら。(この「構造改革」を導入し推進してきた首魁こそが「日銀のプリンス」たちであったことを『円の支配者』では詳細に明かしています。)
2、実践の要 ―経済的効率と公正さー 

「1959年提出されたプラウト理論は、貧しいものの自給自足を刺激することに努めて、巨大な重要性を、リーダーと成功したものが社会全体に持っている道義的責任に置いた。資本主義についての深刻な問題、‘少数者の手の中の富の集中’と‘お金の回転における停止’が景気後退、不況の根本原因にあると彼は考えた。経済民主主義の必要性を強調して、プラウトはまた蓄財の上の限界を主張した。」(『ウィキペディア』より)

 アフリカ諸国をはじめ発展途上国と称される貧しい国々があります。彼らは初めから貧しかったわけではありません。逆に非常に豊かでした。しかし暴力にて植民地にされ略奪されました。独立後も狡猾な手段で債務を背負わされ収奪され続けられているから貧しいのです。自給自足、自立を阻むモノカルチャー政策が課せられなお搾取され経済的植民地なのです。これにはODAもからみます。世界中から冨を収奪する少数富裕者たちは冨を溜め込むだけです。当然、これでお金の回転が停止し景気後退不況を招き、さらなる貧者が生みだされます。この収奪者に巨大重要な道義的責任があると主張しているのです。道義的責任を問い、世界が困窮から解放されるために私たちは“ありのままに事実”を問い知ることが欠かせないのです。その上で「生きる権利!」を取り戻し、自立しより豊かに幸せな社会を進展させるためには次がポイントになります

人々の購買力(使えるお金)の増加が経済成長の指標となる
地域的自給自足(地産地消)が生活水準の向上になる。(まず家族から始めるべき)
金利がこの世界を破壊させる。(経済成長が強要される、諸悪の根源)
最高賃金(蓄財上の限界)の設定が実践を実現させる。

購買力の向上、本当は簡単です。最低賃金から全て賃金アップするのです。可能か?持続的な好景気にすればよいだけです。方法の一つは既に「お金の秘密・打ち出の小槌物語」で明かしています。交換方程式:M(マネー総量)×V(流通速度)=P(物価水準)×Y(実質GDP)です。端的には実体経済市場にお金を投入するだけのことなのです。もう一つ倫理的道義的公正さの上にも非常に重要なのが「(収奪者が)溜め込み停止している資金」その流通です。蓄財上の限界と最高賃金を設定して余剰分を没収して社会に還元し回転させなければなりません。経済的効率と公正さを担保するには最低賃金と最高賃金の公平な設定が必然です。そのためにも金利の意味を含め中央銀行制度を透明にし見直さなければいけません。残念ながら現在の日本で金融経済市場に大量に回されているお金は、結局は収奪者に手元にいっているのです。生活を守り、今後自立して豊かになっていくには地域における自給自足がポイントで、地域で情報を公開し協力結束することが大事なのです。そこからが始まりです。また具体的にプラウトを実践するのに、決して忘れてはならない留意点があるとされます。5つの基本原則と呼ばれます。

:プラウトの5つの基本原則(『〃』P、66~71)

Ⅰ「いかなる人間も、集合体による明確な了解と承認なしに、物質的富を蓄積することは許されない」。
Ⅱ「宇宙の日常的な潜在力、超日常的な潜在力、スピリチュアルな潜在力のすべてが最大限に活用され合理的に配分されるべきである。」
Ⅲ「人間社会の個体と集合体のフィジカルな潜在力、形而上学的な潜在力、スピリチュアルな潜在力を最大限に活用すべきである。」
Ⅳ「これらのフィジカル、形而上学的、日常的、超日常的スピリチュアルな活用の間で、適切な調整がなされるべきである。」
Ⅴ「活用の方法は、時、場所、人の違いに応じて変えられるべきである。そして活用は進歩的な性質をもつべきである。」

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